四章/縁結び

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*** 「……それで……燃やしちゃったんですか」 「……」 「……ワズマンから染め直して欲しいと依頼があった。マナとサラエムは明日朝イチでポポリの葉を摘んできてくれ。他の者も染色の準備を頼む」 王城での一件はすぐに四季彩署にも知らされた。これから就寝しようという時間に招集がかかり、キヌヅカから明日に向けた指示が下される。 父と娘の親子喧嘩……では済まされないだろう。現場の空気を想像するだけで、明日は清々しい朝を迎えられそうにない。 王女が客人の前で醜態を見せてしまったのは王家の威厳に関わる失態だが、それ以上の問題は王妃と第2王妃の間に確執があることが王女によって浮き彫りになってしまったことだ。 ただでさえ第2王妃が男児を産んだことで、王位継承権が腹違いの王子2人に委ねられている現状。既に政府関係者の間でも、派閥が二分しているという噂は無視できるものではなくなってきた。
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