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下げた頭を拳でコツリと叩かれた。以前は抵抗1つしていただろうが、今は相手を“王子”とわきまえている。
「お前はいつもあんな大きい独り言を言っているのか? 聞かれた相手によっては今の発言、聞き捨てならないものになるぞ……」
「申し訳ございません、まさか他に人がいるとは思わず、つい……」
「“つい”で命を落とすこともある。気を付けよ」
「……はい」
「だが、母と妹を気遣う気持ちは感謝する。お前のような率直な意見に、俺もだいぶ救われる。気分転換にこの山へ来たが、お前に会えたのは運が良かった」
「……疲れてますね」
「おまけに寝不足だ」
意地悪く笑えるなら、クラウン自身の心労は大したことでは無いだろう。思わず意地悪く笑い返したら、「セト」と呼ばれた従者の若者が腰に携えた剣に手をかけた。
「よせ、幼馴染みだ。これでも礼節はマシになった、大目に見てやってくれ」
「……」
「……」
騎虎改め、鉄仮面……若者のイメージを修正し、“冗談が通じない人間”のくくりに分類した。
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