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これ以上のボロが出る前に立ち去ろう──……一礼した後に背を向けると、
「お前なら毒の正体をつかむことが出来るか」
「……」
「母上が何を口にしたか、調べることが出来るか」
振り返れば、クラウンもマナに背中を向けたまま問いかけている。
突然、何を言い出すのか……
それを調査する役職の者が専門にいるだろう……
四季彩署の下女に、王子自ら問いかけること自体間違っている。
しかし、クラウンに代わりマナを見つめるセトの目は、正論の反論を許してはいない。主が求める答えだけを待っている。寡黙のくせに随分と目で語りかけてくるものだと、頬を抓ってやりたくなる。
「マナさん、向こうの葉は集め終わり──……」
「植物の中には毒を持つものがたくさんあります。時間が経っている今、特定、というのは難しいかもしれませんが」
「……」
「今回の件に関わった女官様を全員処分するのは、時期尚早に思います。王妃様のそばにいた人達ですから、外部の人間よりも当時の状況を詳しく知っているはずです。何か気付いたことはないか……個別に話を聞いた方がいいかもしれません」
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