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レイがシヴァナの肩に腕を回して引き寄せる。“必ず守る”と、強い意思表示を見せる恋人達の横では、アルトがマナにしがみつきながら浮かんでいた。
いずれはこの2体にとっても他人事ではなくなるのか──……
「へ」
「へ?」
「──クシッ!!」
小さな仔竜の小さなくしゃみ1つで、室内の書類が宙に舞った。天井の照明が大きく揺らぎ、笠からワタボコリが降り注ぐ。
それを吸い込んだ際に吐き出した一層大きな大きなくしゃみでは、窓を粉砕。蜘蛛の巣状に亀裂が入ってすぐ、音を立てて枠からガラスが崩れ落ちた。
すべてが一瞬の出来事だったように見える。
「……」
「……注意その3。風竜の威力を侮るなかれ。マナに癇癪でも起こされてみろ、この施設は容易く、吹き飛ぶ」
当の本人は難しい話に聞き飽きたのか、開放された窓から外に脱出。晴天の空に向かって浮き上がる姿は、まるで小さな積乱雲だ。
その後を追うアルトもまた、わざわざ施設の扉に突進して突き破り、逃げた妹分の後を追う。
散らかった室内を見回して、何が“嵐”になるのか、早速、カイジも思い至った。
「……なるほど、手を焼きそうだ」
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