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「記帳部所属のマナと言います」
「記帳部? 珍しい、記帳部の女官がどうして厨房なんかに来たの?」
「はい、実は王妃様が毒を盛られた件で記帳部としましても独自に調査を「ちょっと!!」
「はい?」
「この場で毒を盛ったとでも疑ってるの!? 言っておきますけどね、王妃様の食事はここで作られていないんだから私たちが関与しているわけないでしょう!?」
「王族の方の食事はここで作られているんじゃないんですか?」
「作っているわよ、貴女には見えないのこの豪華食材を使って作った手間のかけられた料理が!! 今! まさに! 今夜の晩餐の準備をしているところよ!!」
「う、うわ~、オイシソウダナァ」
言われて見れば確かにそうだ。普段自分が口にしている食事が残飯なんじゃないかと思うほど、今まさに作られている料理は素材も、彩りも、ボリュームも、すべてが規格外だ。盛り付けられる皿にまで絵が描かれ、黄金色のスープを注ぐと更に絵は際立つ。
作業中の鍋に寄り、クンクンと匂いを嗅げば、それだけで麦飯一杯食べられそうだ。
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