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(……気の強そうなお姫様ですね)
「……しっかりとした7才だなぁ」
ナツメの長男も同じ7才だが、男の子は下品な言葉を好んで使う時期だ。会うたびに言葉責めにされ、隙あればお尻に触れてくる。
ヤンチャ盛りの男児とおませな女児……どちらの扱いが難しいか考えてみたが、考えるだけでも頭が疲れる。
「子どもにピクシーが見えたら、翅をむしり取られそうだよね」
(なに急に怖いこと言い出すんですか!! もうっ、ほら、行きますよ!!)
そして女児には着せ替え人形にされるだろうと思ったが、これ以上機嫌を損ねては消えてしまいそうだったので、マナは黙ってハルジオンの後に続いた。
『まずい』と、本能が警鐘を鳴らしたのは、別館に続く回廊を歩いていた時だ。珍しくセトが単独行動をしている。騎虎のような男には、多少の動揺も隠し通せない。動揺せずに脇をすり抜ける自信は──……正直、ない。姿を見つけて、既に動揺してしまっている。
とっさに身を隠そうと、すぐ近くのドアノブに手をかけた。運良く鍵はかかっていない。平常心を装った横顔を向けて、入室した。
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