五章/王の住処

10/18
前へ
/503ページ
次へ
(……気の強そうなお姫様ですね) 「……しっかりとした7才だなぁ」 ナツメの長男も同じ7才だが、男の子は下品な言葉を好んで使う時期だ。会うたびに言葉責めにされ、隙あればお尻に触れてくる。 ヤンチャ盛りの男児とおませな女児……どちらの扱いが難しいか考えてみたが、考えるだけでも頭が疲れる。 「子どもにピクシーが見えたら、翅をむしり取られそうだよね」 (なに急に怖いこと言い出すんですか!! もうっ、ほら、行きますよ!!) そして女児には着せ替え人形にされるだろうと思ったが、これ以上機嫌を損ねては消えてしまいそうだったので、マナは黙ってハルジオンの後に続いた。 『まずい』と、本能が警鐘を鳴らしたのは、別館に続く回廊を歩いていた時だ。珍しくセトが単独行動をしている。騎虎のような男には、多少の動揺も隠し通せない。動揺せずに脇をすり抜ける自信は──……正直、ない。姿を見つけて、既に動揺してしまっている。 とっさに身を隠そうと、すぐ近くのドアノブに手をかけた。運良く鍵はかかっていない。平常心を装った横顔を向けて、入室した。
/503ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加