五章/王の住処

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予定外の行動に出てしまったため、ハルジオンと離れてしまった。(勝手な行動をしないでください!)と、後から怒られることは避けられそうにないが、それ以上にセトと接近してはまずいという判断は正しかったように思う。 通り過ぎるのを待って、回廊に戻ればいい。単純にそう考えていたが、偶然入った部屋の中で気になるものを見つけた。 居館に不釣り合いな武器の数々。剣や弓矢の数が最も多いが、中には扱い方すら分からないものまで揃っている。王族が暮らす居館にも武器庫はあるはずだが、マナが入った部屋の造りはどう見ても一般的な談話室だ。 「……どうして、こんなものが……」 城内の人間が使用する機会に備えている──…… その時とは、一体“ナニ”に対して対抗するものなのだろうか。胸がぐっと詰まる思いがした。 華やかなだけではない。ここは城であり、要塞だ。攻め入られた時には抵抗するための武力を保持する。それは間違っていないが、しかし…… 「……これで竜は倒せない」 風竜であれば、傷1つ付けることは出来ないだろうなと、そんなことを思った。
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