六章/花

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潜入捜査を始めてようやく一息つけた場所が、この庭園だった。扱う花は山の花とはまるで違う。華やかで色鮮やかなものが多く、香りが強い。蝶や蜂に混ざって花壇を飛ぶピクシーも、淑やかさと優雅さを兼ね揃えている。 「……山へ帰りたい」 (……上等な絹の服を着て、何言ってるんですか。それよりもどうするんですか、マナ。マナが毒を突き止めたことでノア王室に波乱の予感です) 「……波乱を静める方法は?」 (陛下が関与していないことを証明する必要がありますね……) 「そのためには?」 (茶葉を作った人間を探します) 「探し出して?」 (製造した人間が“誤ってコロリウシを使用した”可能性を潰します) 「そうすると?」 (製造を指示した人間が王妃様の命を狙った真犯人ということになり、陛下の潔白が証明されます) 「……やることが多いなー!!」 (自分で考えてくださいよ! 私! 今! 疲れているんですから!)
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