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なびくカーテンの向こう側に、窓際で日の光を浴びる青い小花の鉢が見えた。決して華やかではない花を母は好んで部屋に飾った。
1度名前を聞いたことがあったが、その時は「貴方も知っている名前なのよ」と言われただけで、母親自身の名前から名付けられた花だとは一言も言わなかった。
花弁を散らす風からプレセペ・マムを守るため、開け放たれた窓に手をかける父。恨めしげに空を見上げた視線は、塔の上の息子をとらえた。陛下のお出ましにマナは身を屈め、セトはクラウンの背後から引く。
「そんなところで何をしている」
父親に会って確かめたかったこと。クラウンの手には未だに例の茶缶が握られている。誰が母に毒を盛ったのか。これを贈った父が関与しているのではないかという疑いは未だ消えていないが……
「……中年の愛も素敵ですよね~」
「……」
足元で恥ずかしい言葉を口にするマナが、めげずにセトから共感を得ようとしている。おそらく背後に立つセトは無表情を貫いているだろうが、
「……子どものお前に分かるのか?」
親友が珍しく言い返した。
馬鹿馬鹿しい……なんて馬鹿馬鹿しくて、愉快な時間なのだろう。
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