七章/狼煙

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「サーバルの奴、四季彩署にえらい迷惑をかけているようだな……隊長の権限でマナに接近禁止命令でも出したらどうだ」 「ほっとけ、ほっとけ。男女の関係なんて何をきっかけに変わるか分からん。10代の色恋沙汰におっさん2人が出る幕じゃないだろう」 第一子が産まれたばかりの親友だが、その心は12年前にマナの身元保証人になった時から父性が芽生えているようにナツメは思う。 血の繋がらない娘にも過保護なんだ、血の繋がった娘にはこれからどれだけ甘くなるだろうか。自分にも7才になる息子がいるが、負けん気の強い生意気盛り。帰宅すれば妻の手を煩わせ、妻の苛立ちは自分にも向けられることが目に見える。声の大きさ、口数の多さ、息子は絶対に妻に似た。 「じゃあ、また後で」 「娘が可愛いからって遅れるなよ」 「約束はできん」と笑って、親友は美しい新妻と娘が待つ新居へ帰っていった。 ナツメは真っ直ぐ自宅へ戻ることなく騎虎の厩舎に向かう。疲れた体に妻の小言と息子の戯れ言を聞くのは負担に感じたこともあるが、家族よりも先に恋しく思ったのはカムの顔。決して犬のように尾を振って、喜びを露わに飛び付いてくるわけでもないが、寡黙で媚びない騎虎の性格が何より気に入っている。
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