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同時刻──……
2頭の馬が都へ飛び込んだ。門衛が止める間もなく城門を突破し、その場で馬上の1人が叫ぶ。
「クリニアの竜が攻めてくる!! 町の外へ避難しろ!!」
「!?」
「……竜?」
もう1人は大通りを抜け、城を目指した。同じ部隊の仲間が食い止めている場所から都までそう距離は遠くない。一刻も早く、陛下にこのことを知らせて迎撃に備えなければ──……
丘陵の上からは鐘が鳴る。おそらく騎虎が危険を察知し、それに気付いた騎虎隊が既に動いてくれている。鈍い警鐘が9回打ち鳴らされた後は、塔の甲高い鐘の音が鳴る。今度は9度と決められず、カンカンカンカン、忙しなく打ち鳴らされ続けた。
緊急事態。
敵接近。
軍は戦闘準備に移り、
市民は避難行動をとれ──……
危険を知らせる鐘の音が、歪んだ。
都で最も高い王城の塔が陰る。それに気付いたのとどちらが早いか。翼を広げた巨大な竜が塔に降り立ち、塔は3階部分から折れて、落ちた──……
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