七章/狼煙

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腕を振りかぶり、払われた騎虎が外殻塔の城壁に衝突する。それだけで壁面は崩れ、足場がぐらつく。騎虎が直撃した人間は騎虎もろともに吹き飛ばされ、回避した人間には直接、竜爪が振り下ろされた。 「避けろ!!」 「!!」 鋭利な爪は易々と側塔の城壁を剥いだ。人間相手ならば攻略が難しい防御壁も、竜相手では無意味に等しい。身を隠す壁を取り払われ、無防備な状態で竜と対峙した人間は、無力さと絶望に打ちひしがれた。竜を弓で仕留めることなんて出来るわけがない…… 口腔から吐き出された第2波の炎は、都へ通じる跳ね橋を焼き落とした。 町には新たな竜が迫っている。 青褐色の竜は翼を持たないが、火竜と水竜、両親の特性を生まれ持った混血種……口から吐き出される熱湯をわずかでも浴びれば、重度の火傷は免れない。
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