七章/狼煙

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王城裏では相棒を迎えに来た騎虎隊員が続々と出撃していく。 既に竜のもとへ向かった相棒に代わり、別の騎虎に跨がる者も多く、使う騎虎を選ばない隊員は優秀な証拠だ。背に跨がることも出来ない見習いは、出撃することも許されない。代わりに子どもの騎虎を保護するため、裏山への移動が命じられた。興奮する騎虎の子どもに首輪をはめ、1人1体……可能であれば2体の手綱を引く。更に産まれたばかりの赤ん坊であれば、荷車に乗せて2人がかりで運ぶ。 この非常事態に人命ではなく、何故、騎虎の保護を優先するのか反発の声も上がったが、成体が被る甚大な被害を考えた場合、ここで騎虎を全滅させるわけにはいかない。 ノア王国の国防は騎虎にかかっているのだから──……だから今は、竜に立ち向かっている騎虎の力を信じるしかない。 「サーバル、お前も都へ出て市民の避難誘導にあたれ。竜が町へ下りることも考えられる、何頭か連れて行け」 「ナツメ様は!?」 「この状況でハズマがベガを迎えに来ないということは、居住区域の方でも被害が出ているのだろう」 「……ッ……」 「まずは戦力、逃げ遅れた騎虎隊を救いに行く。それからすぐに加勢に向かう」
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