七章/狼煙

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カムとベガ、他にも成体の騎虎を引き連れたナツメが合流すると、他の隊員達も2人のもとへ集まった。情報の共有と、今後の指示を仰ぐため。 放された後も飛び出すこと無く残った騎虎は、言ってみれば慎重で柔軟な性格だ。人間社会の上下関係も把握し、誰に従えば良いのかをよく理解している。“戦う”以外の選択肢も含め、人間が自分たちに何を求めているかを見定めるように決して軽率な行動はとらない。 「竜は塔の火竜の他に、無翼の竜が町に侵攻している。町にも何名か行かせているが、とてもじゃないが数が足りない。半数は町へ下り、避難は駐留兵に任せて竜の討伐にあたってくれ」 「了解」 「向かいます」 「ナツメ、陛下は無事か?」 「総隊長がローヤンを連れて救出に向かった。別館、別棟にもそれぞれ部隊長を向かわせてある。ハズマ、俺達は前線で」 前線で竜の討伐に加わる──……口に出そうとしたところで、赤子を抱くケリーが視界に入った。瞬きもせず、ジッと騎虎隊のやり取りに聞き耳を立てている。 ハズマを前線に向かわせたら、まず、無傷で妻子のもとへ帰すことは出来ないだろう。
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