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「余計なことは考えるな」
「……」
「ここにいる、誰にだって家族はいる。その家族を守るためにも俺達がいくんだろう」
親友が指差す方には、ナツメ自身の妻がいる。その手はしっかり息子の手を掴み、いつもはふざけてばかりいる息子の顔は既に涙と鼻水でぐちゃぐちゃだ。家の主にそばにいて欲しいと思うのは、どこの家庭も同じ。しかし、騎虎隊員のもとに嫁いだ者、騎虎隊員の家に生まれた人間は、それ相応の覚悟をしている。
「娘のことは私に任せなさい。貴方が留守の間でも1人でこの子を産み、しっかり守ってきたんだから何も心配することなんてないわ」
「……君は本当に頼もしい女性だよ。安心して家族を任せられる」
「ほら、貴方も部隊長ならしっかりしなさい。貴方の指示を待っている部下が現場で待ってるわよ!」
「分かってる。ユーリ、母さんを頼んだぞ。絶対に母さんの手を放すな」
「……うんっ、父さんも……絶対無事に帰ってきてね……ッ……」
「当然だ」
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