八章/古傷

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無口な臣下に父子を託し、母は幼い妹に手を引かれて四季彩署に向かった。誰よりも病弱で、混乱するこの現場で誰よりも儚げな母の背中を見送り、クラウンは改めて居館に向き直る。 竜は崇高な神獣なんてものではない。 血を好み、国に災厄をもたらす凶悪な邪神。 躊躇いなく、討ち滅ぼす対象──…… 首から提げた騎笛を鳴らし、カシューを呼ぶ。それに倣ってセトもまた、自身の騎虎・アグリを呼び寄せた。2体は主人同様、アグリがカシューの傍らに寄り添うかたちで現れ、主の正面で姿勢を正す。 「恐れるな。お前は私に力を貸してくれるように、お前の命も私が必ず守る」 「……」 「……いくぞ、カシュー!!」
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