八章/古傷

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「ケリーさんはここから離れて。四季彩署に怪我人が集まってる。シェリルちゃんを安全な場所へ連れていってあげてください」 「でも、中にはまだ人が……!!」 「私が行きます」 邪魔な髪を1つにまとめ、マナは瓦礫の山に駆け上がった。足場の悪い環境は裏山で慣れている。力こそないが、この場にいる誰よりも身の軽さには自信がある。 四つん這いの軍人には、それ以上進まず、その場で待機するように命じた。体重の重い彼等が動けば、それだけで更なる崩落のおそれがあるからだ。 取り残された騎虎隊家族の中にはナツメの息子、ユーリの姿も見つけた。母親の手をしっかり握りしめながら、マナを確認すると不用意に瓦礫へ駆けつけようとしたため、思わず声を張り上げた。 「近付かないで!!」 「ッ!?」 「私が行くから、それ以上は近付かないで。子ども達から先に運び出します」
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