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ありったけの声で叫ぶ。メリッと頭蓋骨が軋む音がした。
枯色の毛並みの若い騎虎。乗り手を持たない血気盛んな2才の雄。振り払われても揺るがぬ闘志を剥き出している騎虎は、一瞬躊躇い、そしてマナに向かってきた。
速度を緩めようなんて優しさはない。その背に跳び乗った直後、ガクンと腰が下がった。下がったと思ったら思いきり飛び上がり、正面から灰色の竜に向かっていく。
個体の性格は、悪く言えば無鉄砲。良く言えば勇敢。この場でそれ以上の武器はない──……
「……カイジ、ごめん」
「グルルルルアアアアァァァァッ!!」
「逃げも隠れも、もうやめだ。今度は……私が相手だ、ノーザンクロス」
正面から受けた火炎放射を爆風が切り裂いた。その刹那、灰色の竜は黒煙の中から現れたナニかに押し出された。塔の残骸もろとも上空に弾け飛ばされ、体勢を整えるための翼はひしゃげて開くことも出来ない。
何が起きたのか──……
状況が理解出来ないのは人間も同じ。
目の前に突如、現れた新たな竜は、これまで苦戦していた火竜と比べても規模が違いすぎる。
丘陵全域に影を落とし、うねる体は蛇のように長い。それが何なのか、正体を知る者はごくわずか。
「「「風竜!?」」」
気付いた時には既に、暴風圏の中にいた。
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