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「お嬢さん、とりあえず、ソイツを解放してくれる? そんな体じゃ僕が運ぶしかないだろうからね」
「……ハッ、触られたくねぇけど頼むしかねぇなァ」
「そんなに汚れて……触れたくないのはこっちの台詞だよ」
弟に肩を借りて立ち上がったゼロ・ワンは、マナとは頭2つ分、背が飛び抜けている。人を見下す態度が気に入らない。ゼロ・ツーの「お嬢さん」と言う呼び方も不満だ。これ以上一緒にいたらクリニアまで爆風で吹き飛ばしたくなるだろう……
「そんなに敵意を剥き出さないでよ。これでも僕たちは“同族”なんだから」
「……そんなこと認めるわけ……ッ……」
「サザンクロスを襲撃したのは、僕たちを支配する国……人間の方針だよ。やり方はどうあれ竜族の繁殖は僕たちも必要なことだと思ってる。だから12年前に純血の雌が必要になったんだ」
「戦争の兵器になろうなんて考えは毛頭ねぇよ。人が竜を従わせようという考え自体が竜族に対する侮辱なんだ。俺達にも“意志”っつーもんがあるからなァ。けどよ、復活したそばから滅びたんじゃ意味がないだろう? ……竜がこの世で居場所を確立するためには、もっと数を増やす必要がある」
「……竜の居場所」
「今は人間を利用して、いずれはそういう国を作ろうとしてんだ、俺らわ」
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