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もしも、自分を奪いにクリニアの竜が来た時は、ノア国民に被害が及ぶ前に引き渡してくれて構わない──……そこまで続けて、マナは唇を噛んで、俯いた。
この12年間、たとえ風竜の力が戻らなくても、身の振り方は考え続けていた。自分の存在が原因でノアに害が及ぶなら「引き渡される覚悟」、クリニアが強硬な手段に出るようであれば「死を選ぶ覚悟」……自分だけ助かろうなんて考えは、サザンクロスで救われた時から捨てている。
自分も彼等と同じように、守られる側より、守る側でありたいと……
「ならば、そなたはノアの守護竜となれ」
「……守護……竜」
「この度の襲撃で多くの騎虎を失った。今後、騎虎隊は更なる強化が必要になっていくが、それには時間がかかる。騎虎と騎虎隊が育つまで、そなたが代わりに国防の……いや、守護の象徴となってくれ。風竜がノアの味方についてくれたら、心強く思う者も少なくないはずだ」
「……陛下」
「この国に流れ着いた竜がそなたのように美しく、性根が清い者で良かった」
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