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面接会場に入ると仕官希望者はまずは男女に振り分けられた。男児の場合は早い段階で武官希望、文官希望に振り分けられ、そこから家柄や学の有無、年齢を考慮された上で更に細分化されていく。
一方の女児は先に容姿の美醜を見定められる。女官長のお目にかなわなかった者はその場でふるい落とされるため、容姿に自信がある者は堂々と顔を上げ、無い者はやや顔を伏せ気味だ。
告げられる言葉は単純に「可」か「否」か。「否」と判断された者はその場で退場が命じられ、王城で下女として仕えることも許されない。
マナの目の前にいた女人が「否」を告げられ退場した際、不意に初老の女官長と目が合った。希望者の中でも飛び抜けて幼い女児が混ざっていることを怪訝に思ったことは明らかだが、マナの前に立った時、告げられたのは「可」であった。
「幼いって徳よね、子どもというだけで可愛く見られるんだから」
「……とく?」
「でも、問題はこれからよ。下女としてどこの部署に振り分けられるかが重要。たとえ女官になれなくても、将来、高官様のお目にかなえば地位は逆転できる」
「ぎゃくてん……」
「ごめんなさい、まだあなたには難しい話だったわね」
隣に立っていた赤毛の少女が、ぺろりと舌を出した。
実際、マナには今の状況が半分も理解出来ていない。言われたことに身を委ね、それに従い、移動し、聞かれたことに答える。
良家の令嬢が女官見習いとして別の場所に案内される列を見送ると、質素な衣類に身を包んだ、いわゆる庶民出の者だけがその場に残った。
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