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「そなたたちは今日より下女として王城務めをしてもらう。今から名前を呼ばれた者は配属部署での仕事に従事しなさい。まずは給仕」
食事を調理する部署には少女が6人。裁縫業務の部署にも6人。更に洗濯、清掃、医療補助にそれぞれ5名ずつ名前が呼ばれた。
「マナは? ねぇ、マナは?」
「シッ、名前が呼ばれるまで静かにしてなさい」
次に呼ばれた赤毛の少女は「執務付き」、つまり文官・女官の身の回りの世話役に選ばれた。しがみついていたマナの手を振り払い、チャンスをものにした顔で前に出る。ケリーと呼ばれた彼女の他にも2人選ばれたが、今まで名前を呼ばれた者と比べても3人の表情は晴れやかだ。
置いてきぼりにされた気持ちになって、マナはぷくっと頬を膨らませるが、女官長の鋭い視線に気付いてすぐに空気を吐き出した。まるで鷹の目のようだな、と思う。
「ちと邪魔するぞ、ワズマン」
「!?」
「1人融通してくれんか」
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