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「ちょうどいい、この子どもにしよう。鍛え甲斐がありそうだ」
地面に下ろしたカゴを持って付いてくるように指示を出され、従えば良いのか、断れば良いのか……反応を窺ったのは鷹のような女官長だ。
頷くのを確認して後を追おうとしたが、カゴの大きさはマナよりも大きく、背負ったところで動けない。手押しでカゴを移動させるのも、マナにとっては全力だ。正面から見た者は、カゴがひとりでに動いているようにも見えただろう。
キヌヅカの仕事場は王城から離れた工房にあった。細かな作業は工房の中で行うが、屋外では採取した植物を裁断し、大釜で繊維を煮出す作業をしている。そのためのかまどが並び、かまどにくべる薪が積み上がり、周囲一帯は青臭い独特の匂いが立ちこめている。
「先生、おかえりなさい」
「おかえりなさい、先生」
「うん、ただいま」
老人の後を追うカゴ、その後ろに隠れた子どもが顔を出す。
「おや、この子は?」
「試験場から引っ張ってきた。今度から山の採取に同行させる。平均年齢が下がったぞ、喜べ」
「確かにうんと下がりましたねぇ」
「オイリ、この子に合った作業着はないか。無かったら何か見繕ってやってくれ。出来ることは限られるが、出来ないことだけではないだろう」
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