二章/フェアリーリング

19/22

12人が本棚に入れています
本棚に追加
/503ページ
「そういえば、マナと同じ年に仕官した子どもが、史上最年少で王立博物館の司書に選ばれたそうだよ」 「史上最年少……何才なんですか?」 お盆に菓子も盛り付けながら、話題を持ってきたオイリに尋ねる。 「16才の青年だ。将来は有望な高官になることを期待されていたが、本人は政治に興味は無く、随分と気難しい性格をしているらしい」 「真面目な人なんですね」 「いや、融通が利かない……てことかな。冗談も通じなければ、相手が上司でも自分の考えを曲げない。協調性も無く、言い方に遠慮もない。5年の間に対人関係で問題を起こしたことは数知れず……彼のコントロールを諦めた上部が、博物館司書に推薦したそうだよ」 「……へぇー……優秀な人材なら、ケリーさんも知っている相手かな」 「彼女なら間違いなく存在は知っていると思うよ」 高官に見初められ、玉の輿を狙っている少女の顔を思い浮かべた。 年齢も同い年。将来有望な若者であれば、彼女が知らないはずはない。そんな彼女の口から話題が出ない理由として考えられるのは、よほど容姿が好みではないか。性格に問題があり、“将来は安泰”とは言えないかのどちらかだ。 要するに下女にさえ“無い”と判断される人物……
/503ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加