二章/フェアリーリング

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広い額に太い眉。疑り深い一重の目。顔の中央で主張している大きなワシ鼻。下唇が突き出し気味で、実際に不機嫌なのか、そもそも不機嫌そうな顔をしているのか初対面では分からない。 見るからに気難しそうな青年が、マナの前に立ちはだかった。 「……何かご用ですか?」 おまけに無愛想だ。微笑めば返してくれる性質ではない。決して異性にモテるタイプではないことは9才のマナでも分かる。胸元のネームプレートには【カンコスイ】とあった。 「あの……私、中の資料を読みたくて……お借りしたいのですが……」 「博物館の資料は持ち出し厳禁です。そもそも入館を許可された者でなければ立ち入りさえ許されていません」 「もちろん、分かってます。でも、明確に読みたい資料があるんです。私に必要なものなんです。どうか融通していただけませんか」 「貴女の所属は?」 「四季彩署でキヌヅカ先生の下で下女として働いているマナと言います。身元保証人は騎虎隊のハズマ様とナツメ様です」 「分かりました」 「ありが「出直して下さい」 「えっ、ちょ、待っ!!」 ──ガコンッ 引き戻された扉の間に足を突っ込んだ。くるぶしを打ち付けた激痛で悲鳴をあげそうになったが、歯を食いしばり、無理矢理頬を引き上げる。 子どもだと思って、ナメられてたまるか──……
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