三章/他国の竜

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(((8回目の失敗です))) 「……うぐぐぐぅ……」 マナは全力で頭を抱えていた。 正面突破が不可能なら、妖精達の力を借りて王立博物館から竜に関する書物を持ち出せないか考えたが、過去7回……今回で8回目の失敗に終わっている。 昼間のうちに博物館内に忍び込み、夜になったら本を運び出す計画でいたが、そもそも妖精たちは文字が読めなかった。再度、サザンクロスで使用していた『竜』の文字を教えて試みたのだが、見つけた関連書籍を棚から抜くことが出来ない。3日かけてようやく動かせたと思ったら、今度はそれを持ち上げて飛べない。 撤収した際に床に落とした資料は、翌朝には再び棚へと戻されてしまったらしい。 (いいですか、私たちは非力なのです!) (肉体労働はできません!) (結局、頑張っているのは私たちで、マナは何もしていないじゃないですか!) 労働の報酬に角砂糖を受け取ると、妖精はあっという間に姿を消してしまった。 マナ自身、引き抜いた雑草を土ごと博物館の窓にわざとぶつけ、清掃の名目で中に入れてもらおうと考えたがある。しかし、カンコスイにあっけなくイタズラとして処理されてしまった。 四季彩署に抗議がいき、更には騎虎隊のハズマとナツメまで呼び出される始末。聞いているだけで意識が飛んでいきそうな……尚且つ無性に腹が立ってくる理路整然とした説教を3人揃って聞く羽目になり、ようやく解放された時にはナツメから頭に拳骨をくらった。 「問題を起こすな、この阿呆が!」 「マナ……自分の仕事に従事しなさい」
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