四章/縁結び

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騎虎隊第参部隊長・ハズマと女官執務付きのケリーは、唯一のつながりであるマナを通して出会った。 いつものように四季彩署の備品から、赤い顔料を拝借しに来ていたケリーを見てハズマが一目惚れしたのだが、仕事以外は不器用な男だ。その日は結局、声すらかけられず、名前はマナから聞いて知った。 そして長い付き合いの親友に、酒の席で相談した。気になる女性がいる。しかし相手はたいそう美しく、並んでも決して釣り合いがとれない。それに若い。一回りは年下だ。若い彼女にはいくらでも言い寄る男がいるだろうし、既に将来を約束した相手がいるかもしれない……と。 恋で苦しむ親友の姿に呆れる反面、ようやく親友に気になる女性が出来たことに安堵したナツメは、早速、マナを呼び出した。 「そのケリーとかいう女は、将来を誓い合う男でもいるのか?」 「ケリーさんは財力で男を見る人なので、まだお眼鏡にかなう男性からは声をかけられていないみたいです」 「は? 財力?」 「高官様やハズマ様たち騎虎隊部隊長様のもとに嫁いで、今まで仕えてきた女官様を見返したいんですって」 「……気が強いの?」 「ものすごっく」
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