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成長して変わったことといえば、“視えるモノ”が増えたことだ。はじめは3人しか見えなかったピクシーが、今では数え切れない数に増殖し、牧場以外の場所でも飛び回るようになった。
更には山にも新たな妖精が姿を現し、ピクシー同様に歌って踊る人並み外れた美貌を持つ山の精もいれば、むっつりと顔をしかめながらただひたすらに山道を整える老翁の守人、群れで行動する狼の神獣など姿形も様々だ。
彼等は特に害は無い。時折、髪や服を引っ張ってイタズラをする小さなモノもいるが、「こら!」と叱れば、たちまち姿を消してしまう。
彼等の姿は当然、人の目には映らない。マナが見える理由は竜族の血が流れていることに他ならないが、“視える”だけだ。風竜として飛ぶことも、風を操ることも出来ぬまま、人として字の如く、地に足を着けた生活を送っている。
(マナ、あちらに熟したリンカが実っていますよ)
(それよりもアカベリーが自生している場所に案内してあげましょう)
(待ちなさい、貴女たち! マナは仕事で来ているのだから、目的のものを探すことが先!)
「もう、ケンカはやめて! 今日はポポリの葉を摘みに来たの」
(昨日はツル……)
(今日は葉っぱ……)
(明日はポポリの根っこですか……?)
「そうかもしれない、ほら、行こ!」
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