四章/縁結び

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切り株に座りながらポポリのツルから葉を摘み取るマナと、それを手伝う3人のピクシーのやり取りを聞いていた山の精、オレイアスがクスリと笑った。 作業の邪魔をしないように紡ぐ歌に言葉はなく、赤い汁で手や体を汚す4人とは対照的に、小さな黄色い花を編み込んで冠を作っている。いつも穏やかに微笑み、この山で唯一、マナを「竜の子ども」と呼ぶ存在だ。 (……とにかく、女という生き物は見栄っ張りで嫉妬深い生き物なんです) (自分をよく見せようとする者もいれば、相手の足を引っ張るような話も珍しくはありません) (男所帯で生きているマナは知らないでしょうけど、王城の中ではポケーと生きていたら知らない間に毒を盛られる、そんな世界なんです) 「私、べつにポケーと生きてないけど」 (((生きてます))) 否定の意見をもらうつもりで周りを見たら、山道を枝箒で掃く老翁・ザントマンが深刻な顔をして頷いた。 オレイアスを見れば、彼女は笑みを返すばかりだ。 「……何もしていないのに毒を盛られるなんて、ケリーは怖い世界で生きていたんだね」 (そうですとも) (ハズマ様は見る目があります) (下女と仕えても、腐ること無く強く生きてきたケリーは素敵な女性です) 「そうだね」
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