四章/縁結び

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クラウンの母親ではあるが、その姿を見る機会は今までになかった。7年前に王女を産んでから体調を崩したとは聞いていたが、元々体は弱いため寝所に伏せがちだったはずだ。 現国王カフ・アル・カディブが第2王妃を迎えたのは4年前。2人の間には男児も産まれている。 第2王妃はその位に即いてすぐに、王城から離れた四季彩署にも職人の仕事を労いに訪ねてきたことがあるが、その時に抱いたイメージカラーは薄桃色。まだ20代の若い王妃だった。 (病気で政務もままならないというのに、陛下の寵愛は若い第2王妃に向けられ……) (王妃様はお心苦しい立場だと思います) 「……うん。クラウンや王女様の存在が、王妃様の支えになればいいね」 出来上がった花の冠をオレイアスはマナの頭に乗せた。カタバミの花は強い酸味を持つため虫を寄せ付けない。そのため災難から子どもを守る、“母の愛”を意味する。 シヴァナとオレイアス。控えめな笑い方がとてもよく似ていた。
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