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「なあ、誇れよ18番の女。俺がこんなにポップに正確に分かりやすく男女の初めての会話を演じることはなかなかないんだ。俺の興味が、お前のような胡散臭い催眠術師くずれにいったこの事実のすごさをどうにか理解してもらいてえところだぜ」
「それはどうも」
「てめえこの野郎!自分は何でも知ってますみてえな顔しやがって!」
ああ、俺は普段は誰と話しても「そうだね」しか言わないのに、なぜかこの18番の女には思わず、思わず怒りの怒鳴り声をプレゼントしちまったんだ。ちくしょう、俺の正しい地味で真面目でモブなイメージを返せよ、くそ女が。
そして、それ以上に気にくわねえのは、女の表情が変わらないところだ。もっと嫌そうな顔しろよ、なんで表情変わらねんだよ、くそが。
「今、小説で例えるなら3000字ぐらいなんだ、俺の中ではな。俺はお前なんかに興味はない、2万字の恋愛小説なんて完成しないと思ってる。ありがたく思えよ、俺がきちんと興味ないアピールしてやったんだ!お前はくそストーカーや迷惑行為ボーイに怯える日々を過ごさなくていいんだ!感謝しろ、くそが!」
ああ、畜生。俺は普段は絶対こんなことを言わない礼儀正しい人間なのに。
「ああ、分かったよ。2万字完成しないことを楽しみにしている」
女はそう言って軽く微笑んで、放課後の教室かた出ていった。
俺はしばらく呆然としていたが、ふと我に返りバイトに行かなければならなかったことに気づき、あわてて走り出した。ああ、心をとらわれるような出来事なんて、俺には迷惑なんだ、くそが。
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