唐突にヒロインが登場するくだり

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ああ、このくそ教師は女の生徒にも暴言吐くのかと呆れていたんだ。 そしたらよ。まあ驚くわ。 18番の女が冷たい目つきで指を鳴らしたら、教師の顔つきが変わっていくんだわ。 18番が指を鳴らすたびに、くそ教師の顔がどんどん阿保っぽくなっていく。 「うーばぶーごめんでちゅーごめんでちゅー」 突然幼児になったんだ、このくそ教師は。 「おい、どういうことだ、つい今まで俺のことをタコ殴りにしていた男教師43歳が3歳児のような言動になっている、どういうことだ、これは」 俺が説明まじりの独り言をはなつと、出席番号18番の女は表情を変えずにこうつぶいやいた。 「催眠術のようなものだよ。この教師はもともと精神的に未熟だった。三つ子の魂三百までという言葉があるだろう?人の本質は何年経っても変わらないものなんだ。私はきっかけを与えたに過ぎない」 俺は、俄然この女に興味が出てきたんだが、興味が出てきた自分を認めたくなかった。そういうもんだ。 そしてちゃっかり女が百までを三百までと盛っていたところはスルーした。こんなわざとらしい話し方の女の面白くもねえボケは拾ってやらないほうが優しさなんだ。
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