唐突にヒロインが登場するくだり

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「まあ感謝してるぜ。俺は、かなりプライドが高いんだ。俺が耐えてやって、このくそ教師の満足度を映画レビューでいうところの星5ぐらいにしてやったんだ。俺の高いプライドは、それくらい容易く出来るんだ」 俺は、マジでプライドが鬼のように高い自覚はあったので、そこだけは正直に話してやった。というか、そんな事実、俺のプライドの高さをひたすら隠しているが出てきてしまったような事実すら認めたくなかったが、18番の女のわずかな微笑みが、俺の言動に油断を与えたんだ!くそが! 「へえ、いつも怒っているような顔をしているのに優しさを持ち合わせていたんだな」 この女、俺がいつも怒ったような顔をしてるなんて俺のことをこっそり見てやがったのか!くそが! 「ああ?何言ってんだ、てめー!俺は全然怒ってねえだろうが!必死に周りと合わせて清く正しく地味で真面目で頭も運動神経も悪く、不細工でモブで生きてて何の価値もねえような脇役その1をしっかり演じてるだろうが!てめえ、俺のこの努力が分かってんのか!」 くそが。必死になって隠していた本音らしきものが口をついて出てくる。女は冷たい目でこちらを見てくるんだ。その目を見てしまうと、本音らしき言動を隠すことができない。くそが。 「ああ、君が『自分こそ選ばれた素晴らしい人間だ』と心の底から思ってることがよく分かったよ。自分を特別視してもらいたい人間は、極端に自分を高めて表現するか極端に卑下して表現するのが常套手段だ」 この女、俺のことを分かってるつもりか!くそが、むかついてきたわ。
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