新しい駅。

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「お客様、お客様」 ふと目を覚ますと、駅員と莉奈が俺を覗き込んでいた。 「よかった。気絶されてましたよ。  映画にどっぷり浸かっていただいたようで」 莉奈がため息をつきながら言う。 「ちゃんと台本読んだ?   ラストシーン、私が隠し持っていた爆弾でゾンビを倒すっていう見せ場だったのよ。  捨て身でゾンビに立ち向かうって…」 やってしまった。勝手に見せ場を奪っていたらしい。 「本当そういうとこ、ちゃんとしてよね」 「ご、ごめん」 莉奈はプッと吹き出し、笑い出した。 「でも、ちょっと見直した」 とりあえず、よかった。 俺は莉奈の頭をポンポンと撫でた。 そのとき、後ろに人の気配がし振り返った。 駅員の横にガッチリとした体格で、あごひげを蓄えた男性がいるではないか。 「こちら当駅の駅長です。お話があるということで」 さすがにこれは怒られるのだろうと覚悟した。 「映画の流れを壊してしまってすいません」 眉間にシワを寄せ、鋭い眼光で駅長が睨みを利かす。
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