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「あまりに台本と違う演技をするので、序盤で降車させようか迷った。
しかし、君の演技はとても鬼気迫るものがあって、
原作を超えているくらい素晴らしかった」
えっ、と面を食らった。
必死にゾンビから逃げていたのが、リアルだったのだろうか。
「私はここで駅長として、役者の卵を見つける任務を担っていてね、
見込みのある人をこの駅に迎え入れているんだ。
先ほどの演技を見て、君には是非、新作映画に出てもらいたいと思っている」
「本当の映画に、ですか?」
急な展開に、呆然とした。
莉奈が興奮して俺の腕をつかむ。
「これってスカウトじゃん! 役者の才能があるってこと?」
駅長は大きな封筒を手に取った。
「すでに、台本はできているよ。
是非、出演いただきたいと思っている」
まさか、こんな展開になるなんて。
一体どんな作品なんだろう。
封筒から台本を取り出して見た。
『帰ってきたランニングデッド学園』
俺は咄嗟に言った。
「少し、考える時間をください」
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