新しい駅。

12/12
前へ
/12ページ
次へ
「あまりに台本と違う演技をするので、序盤で降車させようか迷った。  しかし、君の演技はとても鬼気迫るものがあって、  原作を超えているくらい素晴らしかった」 えっ、と面を食らった。 必死にゾンビから逃げていたのが、リアルだったのだろうか。 「私はここで駅長として、役者の卵を見つける任務を担っていてね、  見込みのある人をこの駅に迎え入れているんだ。  先ほどの演技を見て、君には是非、新作映画に出てもらいたいと思っている」 「本当の映画に、ですか?」 急な展開に、呆然とした。 莉奈が興奮して俺の腕をつかむ。 「これってスカウトじゃん! 役者の才能があるってこと?」 駅長は大きな封筒を手に取った。 「すでに、台本はできているよ。  是非、出演いただきたいと思っている」 まさか、こんな展開になるなんて。 一体どんな作品なんだろう。 封筒から台本を取り出して見た。 『帰ってきたランニングデッド学園』 俺は咄嗟に言った。 「少し、考える時間をください」
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加