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どういうことだ、理解が追いつかない。
「お好きな作品の切符を購入して頂きますと、
役柄が決まり、台本と引き換えとなります。
日常では味わえない空間を、是非お楽しみ下さい」
映画に入って役を演じる…?
そんなことあり得るのか?
もう一度路線図を見てみると、
『アクション路線、コメディー路線、SF路線』など、
映画でよく聞くジャンルも並んでいる。
電光掲示板を見ると、
確かに映画の作品名と開始時間が書いてある。
「最初は信じられないと皆さんおっしゃいます。
しかし、一度ご乗車いただくと、魅力にとりつかれますよ」
半信半疑だが、切符を買うことにした。
路線と行き先となる作品を選択するようだ。
悩んだ結果、ヒューマン路線に乗る事にした。
向かうは『ボヘミアン・セレナーデ』という
実在のバンドグループを題材にした大ヒット映画だ。
切符は、指定席と自由席がある。
指定席は値が張るが、好きなキャストを演じることができ、
自由席は役がランダムに決まるようだ。
まずは、お試しということで、自由席切符を買った。
先ほどの駅員に促され、改札に向かう。
「ヒューマン路線の改札は、こちらです」
切符を改札に通す。
すると、台本と洋服が、ポンポンと出てきた。
「すごい。これ、衣装ですか?」
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