第1章呪われた子

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それは真夜中の雨の日のことだった。 ザーザーと振り続ける雨の音。 それをかき消すように産声が聞こえた。 「おぎゃー、おぎゃー!」 「良かったですね、元気な男の子ですよ!」 齢30のそこそこベテランそうな看護師が虫の息の女性に言った。 「この子はきっと、強い子だわ...お父さんに似てるもの...」 そう産まれたての赤ん坊を抱き抱えながら言ったあと、女性の脈は途絶えた、、、 「奥様!、奥様!」 看護師と医師が必死に呼びかけるが、無駄だった。 「24時35分、ご冥福をお祈りします。」 外では雨が降り続けている、、、 「やーい、呪われた子め!」 「悔しかったら反撃してみろよ!」 いじめっ子達がガタイのいい男の子に石を投げつけ罵倒している。 「.........なんで僕なんだろう。」 ボソッと呟いた。 「おい、聞いたか?呪ってやるだってよ!」 「マジかよ!?逃げろ?!」 全く僕の言ったことと違うことを言いふらし僕に嫌がらせをしてくるいじめっ子だ。 あのデブの方の名前がデイビット 身長のちっちゃい方がパブロ 「......なんで僕ばっかりこんなこと言われなきゃダメなんだよ...」 また、呟いた。 「おいおい、今の聞いたか?...」 また、デイビットがデマを流す 「ただいま?」 家のドアを開けた。 ドアには死ねやこの村の厄災とかの張り紙がびっしりと貼っていた。 でも、家に帰るのは嫌じゃなかった。 だって... 「おー、おかえり!」 お父さんがいるから。 「うん!、今日のご飯はなーに?お父さん!」 「んー?今日はお前の好きなマジックポークのハンバーグだ!」 「やったー!」 「ちょっと待て!」 急に大声出すからビックリして後ろを振り返った。 「またあいつらにやられたのか?」 「うん...ごめんなさい...」 「謝ることないぞ!可哀想に...お父さんが何とかしてやりたいが...」 「でも大丈夫!」 「いや、明日から小学校いくな!」 食い気味に言ってきた。 でもその言葉で僕の心はすっと軽くなった。 こんないい父親がいて僕は幸せだと思う。 何故か目から涙が零れる。 すると、お父さんがそっと抱きしめてくれた。
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