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声の出ないニンゲン
Lilyは、嫌われていた
白髪はニンゲンの世界では珍しく、しかも生まれつきだった
そして、殆ど閉じられた目。
ニンゲン達はその目が変だと笑った
変わってる、見えてないじゃん、と。
さらに、声が出なかった
だから、何を言われても答える事が出来なかった
調子に乗ったニンゲンは、Lilyの足を引っ掛けたり、後ろから押したりなどと、虐めのような事をしていた
Lilyは、正直うんざりしていた
何故、ここまでニンゲンは弱い物を貶し、汚したりしたがるのか理解できなかった
だから、恐ろしいモンスターがいると聞いた山に登り、そこで死ぬ予定だった
その時だった
「お前、さっさと死ねよ」
後ろから押されて、Lilyは穴へと落ちていった
好都合だった
だから、精一杯の笑顔で
「(ありがとう)」
口パクではあったが多分伝わっただろう
私の笑顔を見た瞬間、顔色を変えて逃げていったのだから
やっと、死ねるんだね
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