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 リュカは、再び魔界へ向かうことに決めた。  それは勇者としてではなく、一個人リュカとして。  それは、自分の目で魔王というものを、魔物というものを知るため。  なにも考えずただ自分を認められたいがため、必要としてもらいたいがために受けた勇者という任務。  しかし、なにも知らないままただ言われるままに魔王を討つことはできないと思った。  その結果、魔王が本当に悪だと納得できれば、この命をもってして魔王であるルカを討伐しよう。そう心に決めて。  知る前に殺されてしまうかもしれないがーーー。 「いつ来ても、おどろおどろしい場所だ」  薄気味悪い不気味な森。この雰囲気はどうにかならないのだろうかといつも思う。恐ろしくて堪らない。  何度通っても慣れないこの心許なさ。今にもなにかが飛び出してきそうだ。  一個人としてとはいえ、しっかり勇者服と剣を携えてやって来ているリュカは、落ち着かせるように剣を握る。腰に下げた剣の柄を握ると少しだけ落ち着くことができる。
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