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「お前は魔王ギオラ誕生の、見せしめに八つ裂きにして人間界に送りつけてやる!」
魔物は腕から短剣を抜き去る。
リュカは腰から剣を抜き、構えた。噛みつかれ抉られた肩は疼いて激痛を感じる。しかし、ここで魔物の思い通りになるわけにはいかない。
魔王が倒されるのを阻止しなくては。
魔王は強かった。側にいればわかった。何をしなくともそのオーラで足がすくみそうになるほどに。しかし、あの魔王は死にたがりの魔王だ。襲撃され、好都合だと思うままに殺される道を選ぶかもしれない。
「八つ裂きにしてやる!」
「そんなこと、させない!」
必死だった。
剣術の稽古など本格的なものなど一度もしたことがない。自己流だ。自分がことごとく弱い人間なのだと痛感した。
牙を剥き飛びかかってくる魔物を一度転がりながら避ける。間髪いれずに立ち上がり渾身の力で剣を振り抜いた。必死だった。ただ、必死で体を動かしていた。
「ぎぃやああああああ!」
魔物の断末魔を聞きハッとすると、魔物はビクビクと体をうち震わせ倒れた。
全身で呼吸をしていた。耳元で心臓が鳴っている。手が、今になって小刻みに震えた。
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