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カタカタと震える手を呆然と眺めた。魔物を殺した。初めて、魔物をこの手にかけた。殺さなければ殺される。緊迫した状況。
リュカは、自分にはやはり覚悟などなかったのだと痛感した。魔王を倒す覚悟。魔物を殺すという覚悟。初めての魔物討伐に、こんなに体が震えるなんて。
「いかないとーー」
止めないと。ただそれだけだった。
リュカは震える手で剣の処理をし鞘に納める。隠し持っていた短剣も拾い上げ同じようにしまった。
そして走り出すと、魔王城に向かった。
ただ必死に。ひたすらに。走る。
あの魔王を守ることが、ひとまず人間界を守ることに繋がるのだと、それだけを信じて。ルカはともかく、ギオラという魔物を魔王にしてはいけない。魔物の言葉を聞いてそう確信した。
ずいぶんと遠いところまで運ばれたらしい。道もわからないままに走り、ようやく遠目に魔王城の姿を確認できるところまでたどり着いた。その姿を確認し、またひたすらそこを目指して走る。
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