804人が本棚に入れています
本棚に追加
「誰がこんなことを・・・。教えろ。今すぐ消し去ってやる」
「いい! 自分でやった!」
「自分で・・・・・・? リュカが?」
今にも飛び出していきそうなルカを慌てた様子でリュカが止める。リュカの言葉にルカは驚いたように目を丸くさせた。
そして、その言葉の意味を悟ると、少し悲しげに眉を寄せるのだ。
リュカのきれいな手を汚してしまったのかーーと、嘆くように。
「すぐに治癒させる。じっとしていろ」
「ば、バカ! 俺なんかより、自分だろ! そんな傷だらけになって」
リュカなんかよりずっと傷だらけのくせに、リュカの傷の心配ばかりするルカに怒鳴り付ける。なぜそこまで自分を優先させられなければならないのだ。自分はいつだってルカを邪険にしたし、討伐すると息巻いているのに。
「俺のことはいい。リュカが」
「その程度の傷でさすがの人間も死にはいたしませんよ」
冷めた声が届く。
アビルが剣を納め、二人のもとにやってきたのだ。
最初のコメントを投稿しよう!