804人が本棚に入れています
本棚に追加
「魔物に、人間界を襲うなって言ってるって、本当か?」
確かめずにはいられなかった。
なにも知らないままではいられない。
「ーーああ」
「なんで。人間は、お前を討伐しようとしてるのに」
「リュカがいるから」
「え」
「人間界には、リュカがいる。だから、ダメだ」
「俺の、ため・・・・・・?」
だから、わからないのだ。
なぜそこまで自分に拘るのか。
ルカにとってのリュカは、いったいどういう位置にあるのだろうか。
リュカは混乱するばかりだった。
「俺にとって、リュカがすべて。行動の意味も、生きるも死ぬもリュカがすべて」
「だから、それがわからない」
「わからずともよい。俺だけがわかっていれば、いいのだ」
なぜそんな、愛しいものを見るような目で。
慈しみを、温もりをもった瞳で見るのだろう。
「な、なんで殺されようとしてたんだよ」
居たたまれず、リュカは話を変えた。
最初のコメントを投稿しよう!