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「魔物に、人間界を襲うなって言ってるって、本当か?」  確かめずにはいられなかった。  なにも知らないままではいられない。 「ーーああ」 「なんで。人間は、お前を討伐しようとしてるのに」 「リュカがいるから」 「え」 「人間界には、リュカがいる。だから、ダメだ」 「俺の、ため・・・・・・?」  だから、わからないのだ。  なぜそこまで自分に拘るのか。  ルカにとってのリュカは、いったいどういう位置にあるのだろうか。  リュカは混乱するばかりだった。 「俺にとって、リュカがすべて。行動の意味も、生きるも死ぬもリュカがすべて」 「だから、それがわからない」 「わからずともよい。俺だけがわかっていれば、いいのだ」  なぜそんな、愛しいものを見るような目で。  慈しみを、温もりをもった瞳で見るのだろう。 「な、なんで殺されようとしてたんだよ」  居たたまれず、リュカは話を変えた。
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