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いつまでも、立ち話をしているわけにはいかないと立ち上がったルカが、フラりとバランスを崩した。リュカは慌てて支える。
「お、おい。大丈夫か」
「ああ、悪い。少しふらついただけだ」
傷は深かったはずだ。傷は塞いだとはいえ、リュカの時も失った血は戻ることはなかった。かなりの血を失ったからだろう。その上、リュカにも魔力を使ったのだ。
リュカはルカの体を支え、どうにか部屋まで連れていった。
「ちゃんと休んで回復しろ」
「・・・・・・ああ」
「死ぬなよ」
「リュカ、ここにいてほしい」
ベッドに横たえたルカが、弱々しく懇願する。
うつらうつらしていて、相当血を失ってしまったのだろうことがわかった。
リュカはルカの願いを少し思案の後、小さく頷く。側に椅子を運んできてそこに座った。
別に馴れ合うつもりじゃない。だが、気分を損ねてまた死に急がれては困る。そう自分に言い聞かせた。
「キスしたい」
「・・・・・・はっ?」
「でも、ダメだ。リュカもずいぶん血を流したろうから・・・倒れてしまうな」
「な、なに言ってんだよ」
唐突すぎる。ぼんやりとしているからか。
リュカはドキドキと心拍数が上がるのを感じた。
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