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「どうやって、生気は渡せるんだ」
「口を合わせることが一番手っ取り早く手頃な方法ではありますね」
「口を合わせる・・・・・・、口づけってことか」
ああ、どうりでとリュカは先程のルカの発言を思い返した。
「それよりも、多くの生気を吸うためには、性交渉が一番の方法です」
「せ、いこ・・・・・・うぇぇ!?」
「健闘を祈りますよ」
ふっとバカにしたように笑いながらアビルは任務に戻った。
リュカがたじろぐことを見越しての発言だったのだと、その反応で理解したリュカはアビルが去っていく方向を睨み付けた。
バカにしやがって、とプリプリした感情を抱きながらルカの部屋に戻る。
あのような話をリュカに話したと言うことは、恐らく切実な状況なのだろう。過去の魔王は生気を吸う人間を捕らえていたらしいが、恐らくルカはそんなことはしていないのだろう。
食事から得られる生気はたかが知れているらしい。それは、ルカには生気が足りていないということだ。それは、ルカの体には大丈夫なのだろうか。あまり魔力を使わないから今のところは大丈夫なのだとアビルは言っていた。
しかし、ギオラが襲撃して来ればそんなことも言っていられないだろう。ギオラが動き出した今、恐らく深刻な問題となるに違いない。
そういえば、とリュカは思い返す。
前に一度ルカにキスをされたことがあった。なぜか意識が遠退き倒れてしまったことを思い出したのだ。
あれも、生気を吸われたからだったのか。今になって理解できた。
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