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「何が魔王様の利になるのか、よくお考えください」  アビルはそう言い残して去っていってしまった。  ルカは苦渋の表情を浮かべて頭を抱えると、ひとつ息を吐いてベッドに眠るリュカの元へと向かう。  固く閉じられた瞳。青ざめた顔色。  そこに愛がある口づけだったとしても。自分はその愛した彼から生気を奪ってしまう。  だとすれば、容易にできるものではないのだ。  生気は人間からしか得ることができない。  その事からも、魔物にとって魔王にとって人間は”糧”でしかないのだ。  そこに感情を抱くものなどいない。この魔王、ルカ以外にはーー。 「リュカーー。なぜ戻ってきた。俺は、身を割かれる思いで手放したと言うのに」  ささやいた言葉はリュカに届くはずもなく静かな部屋に溶け込んでしまった。
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