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国王様としては、この方法は認めてくださらないかもしれない。国としては、国民の安心が得られることが何より大切なのだ。不信感を抱かせてはいけない。
魔王の討伐、それが一番の近道だった。真実はどうだとしても。
ルカは、そんなリュカを複雑な気持ちで見つめていた。
リュカがここにいてくれると言う。それはとても幸せなことのように思えた。しかし、それは、リュカ自身の気持ちゆえではない。
リュカ自身が、ルカと共にいたいと思っているわけではないのだ。
そんなこと、最初からわかりきったことだった。それなのに、なぜ望んでしまうのだろう。同じように愛してほしい。求めてほしいと。
「もう少し、眠れ」
「俺なんかに、優しくするな。俺は、お前の気持ちを利用しようとしてるんだ」
バカなことを、と思う。
言ってしまえば意味がないというのに。でも、リュカになら利用されたとていいと思う。どうせ、意味のない生なのだ。リュカの望むままに生きるのもいいだろう。
優しい手がリュカの頭を撫で付ける。リュカはその温もりに委ねながら、再び眠りへと落ちていった。
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