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「起き上がれるようになったからと言って、訓練をするやつがあるか」  次に目を覚ましたリュカは、身が動くことを確認し前回よく訓練で使っていた広間にやって来ていた。  汗を弾きながら剣を振るう。そうすれば、無心になれた。自分が魔物を手にかけた感覚が消えない。覚悟のなかった自分を奮い立たせたかった。  ベッドにいないリュカを探してやって来たルカが呆れたように声をかける。  そこでようやく動きを止め、荒い呼吸を落ち着かせながらルカを見た。 「じっとしていられない」 「なぜ」 「落ち着かないんだ」  ここにいると決めたのは自分だ。  勇者としてそう決めた。  だが、ルカに優しく手厚く受け入れられると、簡単にほだされてしまいそうな自分に気づいた。それではいけないのだと自分を律する。  魔王と馴れ合うわけにはいかない。 「また、相手をしてやろうか」  だが、そんなリュカの気持ちもよそに、ルカは事もなさげにそう言って手をかざして鎧姿を呼び出した。  そういう優しさが、心を乱すんだと思いながら、訓練の相手には不足はないのでありがたく相手をしてもらうことにする。
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