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「俺と、これまでの勇者と、何が違う」
「何が?」
「これまでの勇者は反撃し、殺してしまった者もいるんだろう」
「対応はアビルに任せていた。時おりジュマルも出てきていたが」
リュカは首をかしげる。自分の時には一目散に魔王が出てきていたような気がするが。それは、何度訪れても一緒だった。
「魔王はでていったことがないのか」
「ほとんどない。知らないわけではないし、アビルたちが人間たちをどうしようが好きにさせていた。生きて帰ったものもいただろう」
「噂には聞いたことはあるが、無傷ではなかったと聞いた」
「だから、俺は別にすべての人間を殺さないように言っているわけではない」
さらりとそう言い退けてしまう。
リュカが特別なのだ、とその言葉の中に含ませながら。
「森に入ってきたものをどうしようが好きにさせている。ただ、人間界に赴き無差別に襲うことを禁じているだけ」
なぜ。と聞きたかった。でも、その答えはきっと知っている。そう思いリュカは尋ねることをやめた。
リュカ以外の人間の生には本当に興味がないのだと言っているようなものだ。
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